@article{oai:atomi.repo.nii.ac.jp:00000465, author = {新谷, 正雄}, issue = {36}, journal = {跡見学園女子大学文学部紀要, JOURNAL OF ATOMI UNIVERSITY FACULTY OF LITERATURE}, month = {Mar}, note = {application/pdf, text, 本稿は,従来「男との関係を秘す為に隠っている妻」と捉えられて来た,万葉集に見る「隠妻」の意味について,考察を加えたものである。そしてその結果,「隠妻とは,今は親の監視により,関係を結ぶことは勿論,接触することすらできないものの,いっか関係を結び妻となることを夢見る男の,女に対する呼称」という結論を得た。まず考察上の紛れを排除する為,考察対象を「隠妻」と表記されてあるものに絞り,「隠りたる妻」等,類似した表現をその対象から除いた。そうすると「隠妻」とは,母親のもとに隠り,接触,或は関係を持つことができない,男の思いの対象としてのみの女という像が浮かび上がって来る。この像が「隠妻」の意味であることは,「隠り」という言葉自体の意味からも確かめられる。「隠り」とは,外界との交流の断絶を意味する一方,隠りの後,復活が果たされるという意味を含んでいた。「隠り」の状態にある女とは,この言葉の意味からも,幼女から成女へ変身する為,母親のもとに,一定の期間「隠る」女と捉えられるのである。また「隠妻」の「妻」とは,将来,自分の妻になるという願望,期待を込めた呼称であったと考えることができるのである。このような「隠妻」理解にあたり問題になるのは,巻一三の,天皇の妻問を歌った三三一二歌の例である。そこでの「隠妻」は,既に天皇との関係が存在しているかのようである。しかしこれについては,天皇の,或る女に対する始めての妻問の場面と理解すること,そして関係があるかのように見られるのは,世の一般の男との接触を避け「隠り」の状態にある女の心さえも捉えてしまうという,天皇の「いろごのみ」を形象する為の表現,と理解することで,他の「隠妻」歌表現とは矛盾無く,統一的にその意味を把握することができると考えたのである。}, pages = {93--108}, title = {万葉「隠妻」考}, year = {2003} }